釣りの小話.17【レンチ】
2016年 01月 23日
海アメたけなわの季節だった
早朝の島牧海岸でいそいそと準備をすすめる…
今回はたまたま借り物の車で、また夕方には道南での葬儀に出席する予定だった為、余計な物は極力車には積みたくなかった。
車の中にあるのは最低限の釣り道具と喪服、そして風呂セットだけだ。
とりわけ風呂セットを外すことが出来なかったのは、お世話になった知人の身内の葬儀だったからだ。
まさかカサカサでザラザラの身なりでは行けまい…
そんな経緯もあり今回持ち込んだロッドはいつものツーハンドが1本だけだった。
継いだロッドを開いたトランクに挟むように立てかけ、ジャケットを羽織った
駐車場から海を見下ろす
いい波だ、行こう
ラインバスケットを腰に着け終え、トランクをドンッと閉める筈だった
ミシッ
その音と感触に一気に寒気が走った
ロッドを立て掛けたままでトランクを閉めてしまった…
ロッドを手に取り、恐る恐るひと振り試みたのだが、予想通りにクシャッと力無く90度に折れていった
修理代のことなんてどうでもよかった
優先されるのは、目の前にある海にキャスト出来ないこの状況を、どう打破するかだ
スペアのロッドなど無いと分かっていながらも車内を見まわす
そしてレンチが目にとまった…
今日の波風はまさにフライ日和だった
期待を抱かせる波間から、雨鱒はもう既に誰かのロッドを絞っているのだろうか…
次々と浜へ下りていく釣り師達を横目に、急ぎながらも慎重に事を進めた
ロッドの折れた箇所にレンチを添え、ビニールテープできつく巻いていく…
その過程で手が止まった
仮に万が一うまくいったとしてだ、レンチの付いたロッドを振る奴など見たこともない
まして私のロッドにはナットなどはついていない
未練が諦めに変わり、レンチを車に戻す
早朝の島牧海岸でいそいそと準備をすすめる…
今回はたまたま借り物の車で、また夕方には道南での葬儀に出席する予定だった為、余計な物は極力車には積みたくなかった。
車の中にあるのは最低限の釣り道具と喪服、そして風呂セットだけだ。
とりわけ風呂セットを外すことが出来なかったのは、お世話になった知人の身内の葬儀だったからだ。
まさかカサカサでザラザラの身なりでは行けまい…
そんな経緯もあり今回持ち込んだロッドはいつものツーハンドが1本だけだった。
継いだロッドを開いたトランクに挟むように立てかけ、ジャケットを羽織った
駐車場から海を見下ろす
いい波だ、行こう
ラインバスケットを腰に着け終え、トランクをドンッと閉める筈だった
ミシッ
その音と感触に一気に寒気が走った
ロッドを立て掛けたままでトランクを閉めてしまった…
ロッドを手に取り、恐る恐るひと振り試みたのだが、予想通りにクシャッと力無く90度に折れていった
修理代のことなんてどうでもよかった
優先されるのは、目の前にある海にキャスト出来ないこの状況を、どう打破するかだ
スペアのロッドなど無いと分かっていながらも車内を見まわす
そしてレンチが目にとまった…
今日の波風はまさにフライ日和だった
期待を抱かせる波間から、雨鱒はもう既に誰かのロッドを絞っているのだろうか…
次々と浜へ下りていく釣り師達を横目に、急ぎながらも慎重に事を進めた
ロッドの折れた箇所にレンチを添え、ビニールテープできつく巻いていく…
その過程で手が止まった
仮に万が一うまくいったとしてだ、レンチの付いたロッドを振る奴など見たこともない
まして私のロッドにはナットなどはついていない
未練が諦めに変わり、レンチを車に戻す
by kaki1225h
| 2016-01-23 20:53