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釣りの小話.30【熱帯魚の世界】

熱帯魚を飼っている。幼い頃から生き物を飼うのが好きで、いろいろと手を出してきたけど、今では家族の目を気にして無難な熱帯魚に落ち着いている。
一時、アクアリウムとかアクアリストなんて言葉に踊らされて、それ系の雑誌を買っては夢を膨らませ、必要以上な買い物をしたものだった。その大半は今やクローゼットの片隅で眠ってしまっているのだけど、珍しい水草を通販で買ってみたり、気に入った流木を探すのに何件もショップを回ったり…そんなことが楽しくて夢中になっていた。

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水槽の主役は色とりどりの魚達ではなく、ナマズの一種だ。彼らはボトムの物陰を好み、水面や水槽の前面にはなかなかその姿を現さない。水槽の片隅のスペースに流木と水草の組合せでジャングルを作った時は、餌の時間以外には魚を観賞できなかったものだ。
最初は同種が数匹だけの水槽だったけど、少しずつ数を増やしたり模様違いの魚を仲間に加えたりしながら季節を重ねていった。やがて産卵する魚がでてきたり、お亡くなりになるものがでてきたり、稚魚が育っていったり…そんなサイクルが小さな水槽の中で繰り返されている。
図鑑などを読むと魚の特徴や大きさが記載されているが、我が家の水槽では図鑑で最大とされるサイズを遥かに越えるものがごく稀にでてくる。モンスタークラスだ。大きな体に似合わずとても臆病で、流木の下の主になっている。
子供達のリクエストで小さくてカラフルな魚を投入したのは最近のことだ。彼らの泳層は表層の少し下、フライでイメージするとインターのライン、そんなレンジになる。水草を育ててるだけに見える水槽も少しは熱帯魚らしい世界になったと思う。


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魚達にとっては故郷である自然界で天命を全うするのが何より幸せなことかもしれないけど、天敵のいない過保護な水槽もある意味幸せなのかもしれない。水槽で生まれ、その中で一生を終える魚達に外の世界を見せてはあげれないけど、愛情だけはたっぷり注いであげたいと思っている。

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by kaki1225h | 2017-07-17 13:34 | Comments(4)

2017.7.15 45回目の夏

夏の日の休日、夏らしい釣りをしようと川の上流域へ車を走らせた。思えば自分の釣りは寒風に吹かれながら凍えた指先でリトリーブ…そんなことばかりをやってきた気がするので、夏の釣りをもっと楽しんでみようと思う。

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崩れた林道は途中で通行止め、そこからは車を乗り捨て、歩きだ。林道は大破してたけど、渓相は思ったほど荒れてはいない。頭の上から足の先まで汗だくになるのは夏の釣りならではだと感じるし、顔の周りにしつこくまとわりつく蚊や羽虫を払うことにもさえ夏を感じている。
例年、鱒がついている1級ポイントに大きなドライフライを浮かべていく。3Xリーダーにティペットは4Xだ。太っ!と驚かれることもあるが最近では2Xリーダーに3Xティペットでもいいかなと本気で考えている。
ふたつめの1級ポイントにさしかかった時、牛のような鳴き声が続けて2回耳に入る。先程、釣り上がってきた下流の方からだ。そう言えば動物園のような匂いがしてたっけ。友人の話を思い出す…この川で釣りをしていたら上流を大きな熊が横切っていったと。近くに牧場なんてないし、もしかしたら林道を走る車の走行音か、遠くで雷が鳴った音かも…いろいろ考えてみるけど通行止めと青空がそれは違うと言っている。熊だと考えて行動するのがベストだろう。だけど車は下流で、鳴き声は林道側から聞こえてきたから、その林道にあがるまでの長い長い藪こぎはちょっと怖い。出た結論はそのまま釣り上がる、ペースをあげて、だった。目の前のポイントに止せばいいのに2投だけして、こんな時に限って出た鱒には逃げられて、そそくさと上流へ歩を進めた。
川底の石に足を取られながらしばらく歩き、水深のあるとろっとした流れに辿り着く。現金なものでそんなポイントを前にするともう熊の心配は頭の片隅に追いやっていた。

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出てくる鱒は川底の岩盤に同化したように白っぽい背中をしている、この川ならではの岩魚だ。40~45がここでのアベレージで、時には50台も水面を割って出る。そんな大鱒はあと一息のところでスポッとフックが外れてしまって天を仰いだり、ティペットが切れてしまい膝から崩れ落ちたり…ことごとく鱒に軍配があがってしまった。フライがついたまま逃げた鱒はフックがバーブレスだったのがせめてもの救いだ。早くに外れてくれることを切に願う。

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40歳を過ぎたあたりから、釣りに出かけた時の疲労が数日は抜けなくなった。最近では釣りの最中に言うことを聞かないパーツが増えてきて弱気になってくる。職場の健康診断では必ず一つ二つは要注意だとか要検査の欄に記号がついてくるし…。今では世間の悪者扱いになっている煙草も止めれないのにこんな事を思うのは勝手だけど、せめて子供達が親に頼らなくなる年齢になるまでは、この体よもってくれと切に願う。
そしてやっぱり帰りの運転中に脚がつりそうになり、休憩を2回とった。そんな45回目の夏が過ぎようとしている。


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by kaki1225h | 2017-07-15 23:20 | Comments(6)

釣りの小話.29【後遺症】

夜の支笏湖通いが終わると、しばらくの間は何か拍子抜けしたような日常を送ることになる。
ぞわぞわするような重圧感ただよう黒い湖に、それを取り巻く周りの雰囲気が不気味さに拍車をかける、そんな場所が何故か恋しい。刺激だとかスリルのようなものを求めているのだろうけど、そこには身の安全を保障するものは何もない、無担保だ。もし支笏湖ナイト損害保険があるなら、対動物は必須で転倒や水没も担保を希望することだろう。対オバケなんてあると万が一の時に安心かもと思いそうだか、それは逆に怖さが増すのでいくら営業されても首を縦には振らないと思う。

初夏のモンカゲロウのハッチが終わる頃、フライで狙える鱒は急に少なくなる気がしている。産卵で岸辺に集まるウグイを狙う大型の鱒もいるけど、あれを狙うのはルアーの領域だろう。
秋から初冬にかけては、夜の訪れが早すぎて仕事帰りに立ち寄るにはちょっと厳しい。湖岸に立って夕暮れを迎えるのと、既に真っ暗になっている湖岸に下りていくのでは世界が別だ。そんな季節は、息を止めて水に潜る気持ちで、覚悟を決めて斜面を下る。
冬、気温が氷点下まで下がると潔くロッドを畳む。モンスタークラスが姿を現す時期らしいけど、氷点下の夜は歴戦のルアー師などの強者達が集う領域で、そこに踏み込めないでいる自分はまだまだだなぁと思っているし、またそれでいいとも思っている。

今はちょうどオフシーズン、なのにこんな思いに更けるのだから支笏湖ナイトの後遺症なのかも…むし暑い夏の夜はそんな事を考えている。

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by kaki1225h | 2017-07-11 12:13 | Comments(2)

2017.7.9 幽谷で過ごした夏の日

夜のうちに道の駅に車を滑りませた。大岩魚の幽谷を訪れるのは2年振り。眠りに落ちる前、まぶたの奥深くで懐かしい風景が浮かんでは消えていく…  森の色を映しこんだ流れはキラキラした瀬になったり、グリーン色の淵になったり、時には岩盤にぶつかり大きくその向きを変えたり…。昔の人はよく人生を川の流れに例えたようだけど、もしそうなら愛しい子供達はきっと源流部の不純物のない澄んだ流れなのだと思う。一方で自分はまもなく海が近づいてきているあたりになるのだろうか…。濁りもあればゴミの二つ三つも浮いているのかもしれない。薄れていく意識の中で波の音がザザーンと寄せて返した。

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夏。ただでさえ短い夏シーズンの中で、釣りに来れるのは僅か数日なのだろう…10回位か、もしかしたら2~3日かもしれない。そんな事を考えると、夏を全身で感じたいと思う。燃えるような太陽を、心地良いそよ風を、うだるような暑さもだ。だけど、首の後ろや鼻の頭が日に焼けてジリジリ痛むのは嫌だから、かみさんの日焼け止めクリームをこっそり塗り塗りしてきた。なにやら高価そうだったので、ばれないようにこっそりとだ。
早朝。道路脇の駐車スペースから谷を見下ろし、その変貌に驚く。昨年の相次ぐ台風による痕跡なのだろうか、川に覆い被さる木々は無くなっており、淵は消えていた。本来は道路にあるべきの標識らしきものが岩盤の上に横たわっている。岩盤に挟まれた渓谷なのだから氾濫した流れは周辺全てを押し流したのだろう。しばらく釣り進むと橋の一部が斜面の中腹に引っ掛かっている。終了地点にしていた小さな橋が見えた、予想通り柱だけだったけど。
大岩魚達が潜むような流れはひとつも残ってなく、ちょっとした深みでは、小さな岩魚が大きすぎるフライを争うように追う姿があるだけだった。ほとんど人の手が入っていない渓谷なのだから、壊れては再生し、を繰り返してきたのだろう、長い長い年月をかけて。
宝物をひとつ失ったような喪失感をようやく受け入れると、これまでの感謝の気持ちが溢れてきて、訳もなく橋の柱をポンポンと2回たたいた。


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by kaki1225h | 2017-07-09 14:55 | Comments(0)

2017.7.7 支笏湖.夏の夜に

サカナどこいった 今宵、呪文のように何度も繰り返した言葉をまた呟いた。何故かイライラしている。嫌な事があったわけでもないし、小さな悩みの二つ三つならいつも抱えている。幾度も決死の覚悟で夜の支笏湖にトライしているのに、それに見合った対価が得られないからだろうか…。こんな精神状態の時に釣れた試しはないけれども、鱒の気配のない湖畔を小さなライトを頼りに奥へ奥へと歩いていった。

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夜の闇の中にあって更に暗い場所がある。月明かりを遮るように崖上に木々が覆い被さり、星も見えない本当の闇だ。表現するならここから先に黒いカーテンがある、そんな言葉になる。
苛立ちは怖さに勝る 誰が言ったかそんな言葉に背中を押され、思いきって黒いカーテンをくぐった。サカナどこいったの声を強く出しながらだ。湾ではないが小さな岬と岬の間にある崖の下、すぐ先に急激なブレイク、そんな場所をおそるおそる歩いた。時折帽子を触ってくるのはきっと木の枝で、しつこく唇に触れてくる髪のような感触はきっと蜘蛛の糸なのだろう。パキンと乾いた音、自分が踏んだ枯木の音に身を固くする。乾いた音が周りに響くと少し気持ちが悪い、自分の存在が森の何かに悟られるような気がして…。道路からずいぶん離れてしまった、いつもは騒しいと感じていた車の走行音が今は恋しい。
ライトに集まる羽虫を払いながらスカジットラインを取りまわせるだけのスペースに潜りこみ、腰を据える。ここまでまともなライズは1度もない。
日中、車の外気温計は28℃を表示していた。湖でロッドを出すのはさすがに無理があるだろうけど、8月の真っ昼間に白い大きな蛾を追う鱒を何度も見ている。釣れるか釣れないかの2択でいえば確率は五分だと、折れそうな気持ちに火をいれる。フローティングティップの12フィート先には巨大なディアヘアで巻いた白いカディス、梟の鳴き声を背で聞きながら時を待った。

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心が揺れている。モンスタークラスを釣りたい気持ちと、家でゴロゴロしたい気持ちが戦っている。いつもは後者が勝つか、中途半端なサイズが釣れて踏ん切りがつくのだけど、今夜は心が折れるのにそう時間はかからなかった。鱒の活性は日が落ちる寸前にクライマックスを向かえ、その後は沈黙、21時位から散発に大きなライズ音が響くのが通例だけど、今日は小さなお魚でさえ数えるほどしかライズしないのだから終了ということなのだろう。
これで夜の支笏湖通いが終わったのだと思うと、名残惜しさの片隅に、ほっとしたような気持ちがあったことを覚えている。


スカジットマックス600gr
ティップ:フローティング

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by kaki1225h | 2017-07-08 17:18 | Comments(4)

2017.6.29 支笏湖.ラストナイト

夜の支笏湖に魅せられている。見知らぬ地に足を踏み入れるような高揚感や緊張感がそこにはある。そんな幽境な世界が日常のすぐ隣にあることを知ってからは、普段の生活だけでは物足りなさを感じるようになった気がする。
昼間に何かのきっかけでその情景を思い出し、胸にしまう…そんな日は少しソワソワしながら仕事を片付け、帰宅ラッシュで混みあった市道を抜け支笏湖へ向かう道に車をあずける。はやる気持ちを抑えながらだ。


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6/29、夜はまだ実績がないけど、日中の釣りでもっとも魚影の濃さを感じている崖下の奥へ。幾夜も幾夜も訪れた場所なのに、暗闇の湖岸に1人立つと、いつも決まって背筋が伸びるような緊張感を覚える。日常ではあってはならないような事もここではまかり通ってしまう、そんな怖さが ある。
もうピークを過ぎたのかモンカゲロウを見ることはなかった。変わって岸辺にウグイが集結しており、ライトで照らすと無数の影が散っていく。時には大きな影が悠々と深場へ去っていくこともあるけど、あれを釣る術は持っていない。モンカゲ、ウグイの産卵と季節が進むのを今シーズンも感じている、次第に温くなっていく湖水と共に。数回は耳にする大きなライズ音も今夜は1度だけ。もう来るのはやめておこう…そんな思いがよぎる。ウグイの産卵場に突っ込んでいく大鱒は間隔をあけてヒットアンドアウェイを繰り返しているようだった。また来ることがあったなら、どうにかしてあの巨大な影を狙ってみたいと思う。


シングル.WF6F


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7/1、今夜で最後。多分だけど、湖の釣りで真面目に鱒を狙うのは最後になりそうだと思っている。暗くなるのを待ち、前回ウグイが群れていた岸辺に狙いをつける。予想外の少し沖で重力感たっぷりのライズ、予期せぬドッパーンの音に背筋が伸びる。地合というのだろうか、数ヵ所から大きながライズ音が聞こえてきた。中でも少し沖の大鱒は度々派手なライズ音を響かせた。おそらく同一の鱒なのだろう、バックのないここでは正面には投げれないことを知ってるかのように岸と平行に行ったり来たり…。そこへフライラインは伸ばせなかったけど、代わりに背筋が5回は伸びたと思う。
狙ってる場所に肝心のウグイが全くいないのに気がついたのは、それからしばらく後の事だ。今回に限ってなぜいない?帰り際に湖底にライトを向けるとエビの多さに驚いた。特に水中の倒木にはびっしりと…寒気をおぼえるくらいの数だった。岩の上にはカワニナ、何故か夜になると水中から出るらしい。岩の下からはヨシノボリ、踏まないようにヨタヨタと歩く…敗北感だとか未練だとか、そんなもの全てを噛みしめながら。


シングル.WF6F


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by kaki1225h | 2017-07-01 23:45 | Comments(4)